ノックインとは、外来遺伝子をマウスゲノム上に導入し、導入遺伝子産物の機能を解析する手法です。外来遺伝子の挿入により、同時に内在性遺伝子を破壊するような設計、Cre/loxPシステムを利用した誘導発現の設計、複数の外来遺伝子の同時発現など、様々な設計をすることができます。ゲノム中の遺伝子発現制御の活性を調べるためのレポーター遺伝子(LacZ,GFPなど)の挿入もノックインマウス作製に該当します。当社が行っている遺伝子改変マウス作製において、最も高度な技術を要する受託です。ご要望に合わせて、ストラテジーを提案いたします。
特長
01
外来遺伝子をマウスゲノム上に挿入
02
内在性遺伝子を同時に破壊することも可能(ノックイン・ノックアウト)
03
レポータータンパク質の発現を内在性制御領域によりコントロール可能
04
Cre/loxPシステムを利用した誘導発現も可能
05
塩基レベルでご希望のゲノム内の位置にご希望の遺伝子を挿入
06
点変異KIマウスの場合はCRISPR/Cas9でも対応可能
標準作業
内容・価格
- 標的遺伝子に関する情報をデータベースにより取得し、デザイン案を作成
- 相同組換え領域のクローニング
- クローニング産物と薬剤耐性遺伝子の組み合わせにより、相同組換えベクターを構築
- スクリーニング条件設定のためのコントロール・ベクターを作製
約3ヶ月
樹立
- ES細胞株へのエレクトロポレーション
- 薬剤耐性ESクローンのピックアップ
- PCRによるスクリーニング
- PCR解析、Neoプローブによるサザンブロット解析により、相同組換えESクローンを樹立
約4ヶ月
- 最大3クローンの相同組換えESクローンを用いて、キメラマウス作製(全てのキメラマウスがES細胞寄与率80%を下回る場合、再作製)
約3ヶ月
- 自然交配による生殖系列キメラマウスの同定(ES細胞寄与率上位4匹のキメラマウスを、野生型マウスと交配)
- 第1世代(F1)ヘテロマウスの取得
約3ヶ月
合計
※納品にかかる微生物検査費、輸送費は別途必要です。
工程 | 標準作業内容 | 期間 | 価格(税別) |
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相同組換えベクターの構築 |
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約3ヶ月 | 120万円 |
相同組換えESクローンの 樹立 |
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約4ヶ月 | 180万円 |
キメラマウス作製 |
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約3ヶ月 | 70万円 |
ヘテロマウス作製 |
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約3ヶ月 | 70万円 |
合計 ※納品にかかる微生物検査費、輸送費は別途必要です。 |
約13ヶ月 | 440万円 |
約6ヶ月
工程 | 標準作業内容 | 期間 | 価格(税別) |
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薬剤耐性遺伝子の除去 | F1ヘテロマウスとCAG-Flpマウス(あるいは、CAG-Creマウス)との交配により、薬剤耐性遺伝子を除去。さらに、野生型マウスと交配させ、Flpトランスジーン(あるいは、Creトランスジーン)を除去 | 約6ヶ月 | 90万円 |
- ※ 納品にかかる微生物検査費、輸送費は別途必要です。
オプション:スキップサービス(キメラマウスとCAG-Flpマウスの交配により生殖系列移行と薬剤耐性遺伝子除去を同時実施)
スキップサービス
- ES細胞寄与率上位のキメラマウスとCAG-Flpマウスの自然交配の実施※1
- PCR解析による薬剤耐性遺伝子が除去された第1世代(F1)マウスの同定
- 薬剤耐性遺伝子が除去されたF1マウスと野生型マウスの自然交配の実施※1
- PCR解析によるCAG-Flpトランスジーンが除去された第2世代(F2)マウスの同定
- 8週齢までのF2ヘテロマウスの飼育
約6ヶ月
工程 | 標準作業内容 | 期間 | 価格(税別) |
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薬剤耐性遺伝子除去 スキップサービス |
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約6ヶ月 | 170万円 |
- ※1 1ヶ月間の交配で妊娠が確認されない場合、交配ペアを変更しさらに1ヶ月交配を実施します。
- ※ 納品にかかる微生物検査費、輸送費は別途必要です。
- ※ CAG-Creマウスでのスキップサービスも可能です。
点変異KIマウスの作製はCRISPR/Cas9での実施も可能です
ssOligoの合成
- 標的遺伝子配列に対するガイドRNAの選択(最大2種類)
- 選択ガイドRNA配列を組み込んだcrRNAの合成
- Cas9タンパク質とtracrRNAの準備
- 標的配列切断活性のin vitro評価
- ssOligoDNAの合成
約2ヶ月
- 前核期受精卵(C57BL/6N系統)へのインジェクションと移植
- 産子の組織採取
- 8週齢までの産子飼育
約3ヶ月
シークエンスによる
遺伝子変異の検出
- 解析条件の決定
- ダイレクトシークエンス解析(判読可能な場合は変異導入配列を確認)
約1ヶ月
次世代作製
(F1ヘテロマウスの取得)
- 指定のファウンダーマウスを用いた自然交配の実施
- 産子の組織採取
- 8週齢までの産子飼育
- ダイレクトシークエンスによる第1世代(F1)マウスの同定
約3ヶ月
工程 | 標準作業内容 | 期間 | 価格(税別) |
---|---|---|---|
ガイドRNAの活性確認 ssOligoの合成 |
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約2ヶ月 | 55万5千円 |
受精卵インジェクション |
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約3ヶ月 | 70万円 |
ダイレクト シークエンスによる 遺伝子変異の検出 |
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約1ヶ月 | 40万円 |
自然交配による 次世代作製 (F1ヘテロマウスの取得) |
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約3ヶ月 | ご相談ください |
- ※ 実施内容、マウス系統により費用が変わることがあります。
ES細胞を用いた相同組換え法での実施例
構築した遺伝子改変用ベクターをES細胞に導入します。PCRによる1次スクリーニング、詳細解析、Neoプローブによるサザンブロット解析により、相同組換えES細胞を樹立します。
樹立した相同組換えES細胞からマウス作製
樹立した相同組換えES細胞よりマウスを作製します。計画通り遺伝子改変用ベクターが挿入されたES細胞(最大3クローン)からキメラマウスを作製します。F1マウスを作製し、相同組換えES細胞が生殖系列へ移行しているかを確認、ヘテロマウスを取得いたします。
納品
お客様のご都合に合わせて、当社からマウスを納品します。通常はF1ヘテロ接合体マウスを納品しますが、ご希望に応じてキメラマウス(F0ファウンダーマウス)・ホモ接合体マウスの納品、凍結胚・精子での納品、マウス増産後の納品も可能です。